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[試合後会見]2013.6.11

雪辱か返り討ちか

 6月10日、後楽園ホールのリングでは空位の東洋太平洋バンタム級王座決定戦が行われた。3位のデニス・トゥビエロン(23=比)対12位の椎野大輝(26=三迫)の12回戦。両者は昨年9月にフィリピンで拳を交え、4度のダウンを奪ったトゥビエロンが8RTKO勝ちを収めている。舞台を東京に移して行われたリマッチ。椎野が雪辱を果たしたのか、それともトゥビエロンが返り討ちにしたのか。
OPBF王者
 日本とフィリピンの新鋭同士の再戦だったが、前日の計量でトゥビエロンが計量で失格。その時点で戴冠の資格を失い、水を差すかたちとなった。それでも試合はスリリングな展開となり、スタートから緊迫感のある戦いがみられた。サウスポーの好戦派トゥビエロンが圧力をかけ、椎野が間合いをとって出入りを狙うパターンで始まった。初戦で4度のダウンを喫している椎野は「今回は準備の段階から良いイメージしかなかった」というものの間合いがとりにくそうで、やはりサウスポーに対する苦手意識が見え隠れしていた。折り悪く初回のラスト20秒で起こったバッティングで、椎野が昏倒するアクシデントが発生。トゥビエロンに減点1が科され試合は再開されたが、椎野の先行きには不安が感じられたものだ。
チーム椎野
 そんな状況のなかで迎えた2R、唐突のフィナーレを迎えた。トゥビエロンが踏み込んできた瞬間、椎野の右がカウンターでヒットしたのだ。この一撃でトゥビエロンはキャンバスに落下。立ち上がったものの足下が定まらず、レフェリーの10カウントを聞くことになった。
椎野雪辱を果たす
 9ヵ月の期間をおいて雪辱を果たした椎野は意気揚々と控室に引き上げてきた。「倒したのは右フックなんですかね? 無意識に出したパンチなので手応えがなかったので自分では分からないんです」と苦笑いを浮かべた。
 「もっと足をつかうイメージだったけれど、固くなってしまった」と反省の言葉も出た。それでもKOによる雪辱だけに満足感ものぞかせた。「(体重超過には)腹が立ったけれど、倒して勝てばいいと思って戦った」と振り返った。  
返り討ちならず
 一方、18戦目で初のKO負けを喫したトゥビエロンはショックを隠せず、控室では終始うつむいたままだった。23歳の敗者は「ノーコメント」と絞り出すように言っただけで、あとは黙り込んでしまった。その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

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