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[電話取材]2023.12.15

勅使河原弘晶がタパレスの強さを語る

 元OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者の勅使河原弘晶氏(33=三迫)は、2021年12月に米国カリフォルア州で、IBF(国際ボクシング連盟)スーパーバンタム級挑戦権を懸けて、マーロン・タパレス(31=比)と拳を交えたが、2回KO負けで涙を呑んだ。勅使河原氏にとって、これが最後の試合となった。

 勅使河原氏にタパレスの強さ、そして12月26日(火)、有明アリーナで行われる井上尚弥(30=大橋)との4団体王座統一戦について展開予想してもらった。
「タパレスから覚悟を感じた」
 勅使河原氏は「自分の時はですが…」と前置きした上で、「フィリピン人は、試合によってモチベーションが全然違うのですが、自分と戦った時は覚悟を感じた。すごく集中力が高いのを感じた」と、リング上で向き合った時の印象を語った。

 「ほかの選手は、ステップを踏んだりする瞬間に『ここは大丈夫だ』という気を抜くのですが、タパレスにはそれがなかった。集中力を一瞬も欠かさなかった」。
「距離が遠かった」
 勅使河原氏は、タパレスの距離感についても語ってくれた。「身長が低いので、もっと(距離が)近いのかなと思っていたが、意外と遠かった。自分はパンチが当たったら倒せる距離で戦っていたが、それより少し遠いくらい。自分のパンチが届きにくい距離だった」。

 続けて「攻撃に目がいきがちですが、タパレス選手はディフェンスが上手い。反応が速くて、パンチを避けるだけではなくて、返すパンチを考えた避け方。世界2階級制覇チャンピオンなので、当たり前なのですが攻守が備わっている」とディフェンスの上手さにも着目した。
「1敗の重さを知った」
 「そんなに簡単に勝てる2勝ではないが、もし、タパレスとアフマダリエフに勝っていれば、自分が尚弥選手と戦っていたのか。ボクシングの1敗の重さを知った。1敗して、自分はボクシングを辞めて寿司屋を目指すという、まったく違う人生を歩んでいる。ボクシングの過酷さ、残酷さを身を以って知った」。
「井上選手にはパンチが当たらないのではないか」
 井上とも何度かスパーリング経験がある勅使河原氏に予想してもらったところ、「タパレス選手には頑張ってほしいが、尚弥選手の勝ちは揺るがない。尚弥選手は穴がないですから。(タパレスは)粘り強さがあるが、尚弥選手にパンチが当たるかというと、当たらないと思う」。
12月26日(火)有明アリーナ
 尚弥選手とスパーすると、最初は自分のパンチも当たったが、どんどん引き出しがなくなってきて、最後は何もできなくなる。プレッシャーとともに潰されていく。ラウンドを重ねる毎に、尚弥選手が有利になっていくと思う。タパレス選手が一発当てて効かせるとか、ダメージを与えて精神的に揺さぶりをかけることができれば、また展開も変わるが…。尚弥選手が中盤から後半にかけて倒すと思う」と井上の勝利を予想した。

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