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[ニュース]2011.1.28

レフェリーへの第一歩

 元日本フライ級11位、ボクブロでお馴染みの"銀行員ボクサー"遠藤一充(船橋ドラゴン)が、レフェリーへの第一歩を踏み出した。
 03年、19歳でプロデビューした遠藤はその後、千葉興行銀行に入行。3年のブランクを経て、ボクサー、そして行員としての日々を送りながら日本タイトル挑戦を目指していた。だが、迷惑をかけながらも応援してくれる上司に申し訳なく、負けたら引退との覚悟も決めていた。そして昨年9月の佐藤洋輝(ワタナベ)戦で復帰後初の黒星を喫し、引退を決意した。
日本ランクを奪った藤井戦
 高校アマ時代には、同い年の現WBA世界王者・粟生隆寛(帝拳)とも練習を重ねてきた。今年で27歳になる遠藤。10年以上、自分を育ててくれたボクシングに何か出来ることはないか、何か恩返しをしたいと模索し、成り手の少ないレフェリーへの道を選んだという。
 昨年暮れに(財)日本ボクシングコミッション(JBC)に連絡を取り面接を受けた。面接の際、役員からは「例えレフェリーになっても報酬は微々たるもの。生活の保障は出来ない。今の仕事を辞めない条件で実習生として受け入れよう」と言われた。
実習生初日
 27日、後楽園ホールで行われた第78回フレッシュボーイ興行に実習生初日の遠藤の姿があった。数時間前に実施された今年初のプロテストで、いきなりリングに立たされたと話す遠藤は「試合をするより難しいですね。でもリングに多く立てるので得した気分です」と笑顔を見せた。実習生が初日からリングに立つとはあまり聞いたことがないが、これもJBCが遠藤に期待する大きさなのかもしれない。
 しばらくは実習生として月に1〜2回程度、仕事の合間を見てつけてホールに出向き、実際の試合で採点の研修などを行う。
 前述したように、レフェリーとしてリングに上がっても報酬は僅か。役員以外のレフェリーはそのほとんどが本業を持ち、仕事の合間をぬってリングに立っている。時には場内からの野次も受け流さなければならない。"好き"でなければ出来ない仕事だ。遠藤も例外ではなく、この日は余った有給を取って来たとのことだ。
リングを見つめる遠藤
 「引退届けはまだ出していません。来年にも引退試合が出来れば良いですね。ジムでもまだ練習はしています」と話す遠藤。今年秋には結婚も控えている。
 この日の興行。採点の研修も行った遠藤に試合後、話しを聞いた。「いや、人の採点は難しいですね。でも勉強になります。一日も早くレフェリーになれるよう頑張ります」と晴れやかな顔で話し、試合後のミーティングへと駆けて行った。
 銀行員ボクサーから銀行員レフェリーへの道を選択した遠藤。再びリングに立つ日も近い。

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