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[海外ニュース]2017.1.25

ワイルダーの挑戦者が陽性

 37戦全勝(36KO)という驚異的なレコードを誇るWBC(世界ボクシング評議会)ヘビー級王者デオンタイ・ワイルダー(31=米)は、2月25日に米国アラバマ州バーミンガムで5度目の防衛戦を予定しているが、このほど挑戦者のアンドレイ・ワウルジク(29=ポーランド)がVADA(任意の反ドーピング協会)のテストで陽性反応を示したため出場不可となった。ワイルダー陣営は2月25日に防衛戦を行う構えでおり、急遽、代役を探すことになった。
 相次ぐドーピング違反を重視したWBCは昨年からクリーン・ボクシング・プログラム(CBP)と銘打った運動を行っており、トップ選手たちに宣誓書類を提出させたうえでVADAと提携して血液や尿の抜き打ち検査をしている。今回の検査は1月15日と16日にワウルジクが住むポーランドの首都ワルシャワで行われたもので、分析の結果、筋肉増強効果のあるスタノゾロールの成分が検出されたという。VADAから連絡を受けたWBCがワイルダー側のルー・ディベラ・プロモーターに伝えた。WBCはワウルジクの挑戦を認めず、ワイルダーは他の相手を探す必要に迫られた。当日のセミではWBC17位のドミニク・ブリージール(米)対IBF11位、WBO10位イズアグベ・ウゴノー(ポーランド/米)のヘビー級10回戦が組まれているが、どちらかを挑戦者にする案も出ているようだが、これは却下されるとみられている。同じくアンダーカードに出場する予定のWBC10位ジェラルド・ワシントン(米)も代役候補に挙がっているが、ワイルダーを相手にしての大舞台ということで承諾するかどうか疑問視されている。
 なんとも気の毒なのはワイルダーだ。昨年5月にロシアで予定されたアレクサンデル・ポベトキン(露)との防衛戦が相手のドーピング違反によって直前でキャンセルになり、代わりに7月に行ったクリス・アレオーラ(米)戦では8回終了TKO勝ちを収めたものの右拳と右腕を負傷。リハビリを経て今回が7ヵ月ぶりのリングになるはずだった。「いい加減にしてくれよ」という声が聞こえてきそうだ。
 ちなみにワイルダーが休養している間、WBCの暫定王座決定戦が行われるはずだったが、バーメイン・スティバーン(ハイチ/米)と対戦予定だったポベトキンが再びドーピングに違反したためキャンセル。同じヘビー級では春にドーピング違反でWBA王座を剥奪されたルーカス・ブラウン(豪)も、謹慎が解けた秋に再度の違反が発覚して王座決定戦の機会を失った。このほかにもスーパーミドル級WBAスーパー王者のフェリックス・シュトルム(独)、元世界王者ルシアン・ビュテ(ルーマニア)らからも禁止薬物の成分が検出されるなど、昨年からボクシング界はドーピング問題で揺れに揺れている。試合まで1ヵ月、誰がワイルダーに挑戦するのか。

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